(140) 「塞の神」行事 ②

塞の神

 「塞の神」の火勢がピークを越え、やがて下火になってくる。それにつれ、高さ6mほどの塔が少しづつ西北に傾いてきた。それでも青竹の破裂する音はまだ止まない。ちょうどその頃、写真のように東から満月に近い月が雲間に顔を出した。普段と違う不思議な月明かりだった。

 ところで、この地で行われる「塞の神」はおそらく他所と同様、もともと五穀豊穣と災厄払いを願ったものである。以前はたいてい小正月の15日に行ったものだが、近年は休日との絡みがあり、その前の日曜に実施されるようになってきた。それで今年は1月8日(日)になった。

 また実施場所についてはここ十数年間変わらず、この信濃川右岸堤外地である。もちろん国交省には事前に使用届けを提出している。

 さて、点火時刻が迫ってきた。すると 例年通りに、塔の前で今年の厄年の男女が“神主”さんからお払いを受ける。今年は3人だったようだ。その頃から地元や周辺の人々がしだいに集まリ出す。彼らは手に手に、神棚に飾った前年の注連縄や古いお札などを持ち寄る。そして、点火前にそれらを「塞の神」に結んだり、その足もとに置く。今年の参集者は50名くらいは居ただろうか。

 1時間くらいでほぼ火も収まった。その前に参加者も帰り始める。ありがたいことに、今年は万全と言ってよいほど、うまく安全に事が運んだ。筆者を含む主催者側は火の状態を確かめた上で、一旦はここを引き揚げた。例年通り、この後の「なおらい」に臨むためだ。

塞の神、始め良ければ終わり良し。 年々好年、年々感謝。 (E.O)