(100) “素月(すづき)” 

中秋の名月

 凛とした月だった。今月12日の中秋の名月である。時刻は午後10時。 

 幸い今年の中秋の名月は、当地でもくっきりと姿を現した。それに、この写真を撮ったのは ふだん使っているデジカメではない。先日インターネット通販で買い求めたカメラである。30倍ズームレンズが装着されており、何とか まともに撮れた。

 けれど、今回の写真は大きく拡大された丸い月だけである。色気も飾りも、遊びもない写真になってしまった。それは慣れないカメラで三脚を用いずに、うまく拡大して撮ろうと必死だったのだ。他の事を考える余裕が無かった。だから、具の入らない素ウドンならぬ「素月(すづき)」になったのである。むら雲も写ってなければ、ススキも入っていない。アングルも平凡だった。

 しかし この「素月」だからこそ、たまには“月を哲学的に捉える”ことには良いのかもしれない。・・・目の前に月の存在があり、月を通して宇宙の深みや不可思議を感じ、地球と我々の存在を意識する。・・・

 NHKのEテレで専門家が発言していた。つまり、月が地球の周りを現在のように回転しているからこそ、地球の自転が安定している。それゆえ人類が今のように生存でき、穏やかに暮らせるのだ、と。

 ところで、パソコンの画面に映る月に見入るのも、現代的で面白いと感じる。そして、画面上の月でもジーッと凝視していると、しだいに引き込まれるような気がしてくる。どうやら、月には精神的引力もあるようだ。この国最古の物語『竹取物語』の作者も、そのことには気付いていたのかも知れない。

お月様からパワーをもらい 日々好日、日々感謝。 (E.O)