(116) 昼の月と白樺-北モンゴルにて⑤

昼の月と白樺-北モンゴルにて

 手前の白樺、その背後の褐色の稜線、その上の広く青い大空。そこにぽっかりと、うっすらと見える月。色彩も構図も悪くない、絵画的な景観である。

 モンゴルを6回も訪問していると、真昼の月も何度か眺めている。場所はウランバートルだったり、テレルジだったり・・・。けれど、北モンゴルの空に浮かぶこの昼の月も悪くない。月齢でいうと、19日くらいだった。

 前夜、ここにたどり着くまで森の中の林道を走って来た。林道といっても凸凹だらけで、しかも その大きさと深さがひどかった。また、途中二ヶ所では小川に架かる橋が流されていた。けれども、そうした悪路も文字通り乗り越えて来た。そんな時、視界が多少でも広がる場所ではきれいな月を拝めた。進路の左・右 やや上の方に、皓々とした月を見ることができた。

 その月もこうして昼間眺めると、夜会った麗人に昼間すっぴん顔で出くわしたような感じがする。けれど、麗人の場合はその夜・昼の落差が大きいと、複雑な思いを抱く。しかし、月ならば夜・昼いずれの姿も月なので、そうは思わない。

 ところで、実はD社長も月を眺めるのが好きなのだ。常に倍率の高い小型の双眼鏡を持ち歩いているようだ。今回も持って来た。それで前夜、彼は筆者にもその双眼鏡で月を覗くことを勧めた。そんなことが去年もあった。その時に「月は好きなのか?」と彼に尋ねた。すると彼は、「勿論だ。月を見ていると元気になる」と言っていた。なるほど・・・やはりパワーをもらうのだろうか。

異国で見る月は、昼間でもどこか違って 日々好日、日々感謝。 (E.O)