(155) 朧月と屋根雪

朧月と屋根雪

 朧月の下に薄っすらと直線が見える。それは出荷場の屋根に積もった雪のラインである。時刻は明け方5時過ぎ。こうした月を寒月と言うのだろうか。外はかなり冷え込んでいたものの、なかなか風情に富んだ景観だった。そりゃあそうだ、雪と月の組み合わせだもの。

 ただ、この印象的な情景も5分と続かない。不定形の雲が月を掠めては去り、しだいに西の方から雪雲が覆ってきた。そして、とうとう月を隠してしまった。一年に何度も見られない風雅な夜明けの景色は、あっという間に消失してしまった。

 ところで このブログ連載を始めてから、月については以前よりずっと意識するようになっている。また 観月の効用についてもこれまで何度か書いてきたが、月には何らかのパワーがある!とますますそう思い込んでいる。何と言っても心が静まり、気持ちが落ち着いてくる。今回気付いたことだが、寒中の有明月というのも悪くない。この月もそうだったし、ウランバートルで眺めた零下30℃の中の月もすこぶる魅力的だった。

 ただし以前にもご注意したように、美しいからといって月を長く深く見入ると、しまいに魅入られてしまう。あまりにも妖しい月は人を引き込み、連れ去る引力を備えている。この点は『竹取物語』を引っ張り出すまでもない。

 なお、花の品種名で「雪月~」と名付けられたものは結構あるのではないかと思い、ちょっと調べてみた。けれど意外に少なく、ウメやツバキに見い出したくらいだった。

寒月は気持ちが鎮まり暖まり・・・。月があるから 日々好日、日々感謝。 (E.O)