野生のデルフィニウムの仲間である。この2株はすぐ近くに咲いていながら、ご覧のように花色が異なっていた。写真下の青花が普通なのだが、上の写真のような紫花があった。青花の変異なのだろう。
以前紹介したが、色は違うもののマツムシソウにもそうした例があった。テレルジの草原をじっくり探せば、他の種でも発見できるのではないか。
このデルフィニウム、宿泊したゲルの周りでは比較的見かけた。群落をなすという程ではなかったが、あちこちに咲いていた。
ところで、素朴な疑問を抱いた。このあたりの草原はお花畑であると同時に、放牧地でもある。デルフィニウムが生えている辺りにも、放牧家畜の排泄物は少なくはなかった。けれど、なぜ放牧地のデルフィニウムが絶えないのだろうか?放牧された牛や馬はそれを食べないのだろうか?
結論から言えば、彼らは食べないと思われる。なぜなら、デルフィニウムには有毒物質が含まれているからである。デルフィニウムに毒があることは昔 聞いたことがある。そこで今回改めて調べてみると、デルフィニンなど何種類かの有毒アルカロイドを持っているという。
デルフィニウム類はもう300年くらい改良の歴史があり、青系の色調をほとんど持っている。今や花壇用から切花用,ドワーフタイプの鉢物用まで揃い、晩春から初夏にかけて咲く有力な花材になっている。しかし、やはり日本の今年の夏のように高温多湿の気候は苦手のようだ。
花色の変異があっても、いや変異があるからこそ面白い。日々好日、日々感謝。 (E.O)