(91) モンゴル再訪22-モンゴルの月

モンゴル再訪22-モンゴルの月

 写真の上の方にある丸っこい光が月である。下に幾つか見える点のような光は、各ゲルの入口に設置された外灯である。目を凝らしてよーく見ると、中央下あたり、闇の中にうっすらと白いゲルが認められる。

 夜中の0時。枕元に置いた携帯電話のアラームが耳もとで鳴った。パカッと目が覚めた。向かい側のベッドに寝ていたB氏はもう起きて、外にいるようだ。

 寝る前に火を点けておいたストーブが、赤々と燃えている。このストーブと、B氏から借りたコートを着込んで眠りについたのだが、これでちょうど良いくらいだった。やはり、気温がだいぶ下がっているようだ。

 筆者も外に出てみた。出の遅かった月は満月ではなく、右側が少し欠けていた。月齢で言うと、18くらいだったか。数時間前には、犬の遠吠えやどこかのキャンプから かすかに歌声が聞こえてきていた。しかし今は、静寂そのものである。

 異国のこうした場所で、月をボケーッと見上げていると、日本にいる時よりいっそう気持ちが落ち着いてくる。心が洗われてくる。流行の言葉だと、これを“癒される”と言うのだろうか。ひょっとしたら、月光にはこうした作用がもともと備わっているのかもしれない。

 ところで、月の出ている東の空はひとまずおき、それ以外の三方の夜空を見上げた。数え切れない星星が、天空に貼り付いていた。中には明滅する星もある。噂どおり、やはりモンゴルの高地で見る星は美しい。神秘的でさえある。

 とは言うものの、星座などには全く疎い筆者は、北斗七星と北極星を探し出すのが精一杯だった。

モンゴルの 夜空も美味し 酒肴かな。日々好日、日々感謝。 (E.O)